医療トピックス
食と健康
医学博士とシェフ/ソムリエの健康レシピ
ハーブを使った美味しい料理にワインを添えて病気の予防
<全12回>
第6回テーマ:
アトピー性皮膚炎(湿疹)
- ハーブ:
- ローズヒップ
- レシピ:
- ローズヒップーのティー、ローズヒップを使ったフランス料理:パテ・ド・カンパーニュ・ローズヒップのアクセント
- おすすめワイン:
- アルザス ナチュレ2016ドメーヌ・ジュリアン・メイエー
アトピー性皮膚炎には免疫の以上と皮膚バリアの障害が相互に影響
前回に引き続きアレルギー疾患を取り上げてみました。その中でも痒みを伴う慢性の炎症性皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎です。この疾患は増悪・寛解を繰り返し、患者の多くはアトピー素因をもちます。アトピー素因があると、過去に気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、あるいは複数の疾患にかかっていたり、ご家族に同様の症状がみられたりします。この疾患には免疫の異常と皮膚バリアの障害が相互に影響しています。皮膚の保湿機能が低下し乾燥状態になり、この皮膚バリアの障害が外からの異物の侵入をゆるし、さらなる免疫の異常を誘導してしまいます。そこで皮膚の健康を維持するために効果を発揮するメディカルハーブ、ローズヒップをご紹介します。
皮膚の健康維持に効果を発揮するハーブ:ローズヒップ
- 学名
- Rosa canina(ロサ カニナ)
- 科名
- バラ科
- 使用部位
- 偽果
- 花の色
- 薄ピンク色
- 主要成分
- カロテノイド(リコペン、β-カロテン)、フラボノイド、ビタミンC、ペクチン、植物酸
- 作用
- 緩下、ビタミンCの補給
- 適応
- インフルエンザなどの予防、便秘、ビタミンC消耗時の補給
TIPS
標高5.5m程の低木になるローズヒップには「ビタミンCの爆弾」といわれるほど沢山のビタミンCが含まれています。通常のビタミンCよりも熱に強く、美容効果が抜群で、ハーブティーとしても、クリームなどの基礎化粧品としても重宝されます。キャリアオイルのローズヒップ油とは種類が少し異なりますので注意が必要です。学名のrosaは、ラテン語でローズを意味します。caninaは、ラテン語で「犬」を意味するcanisが由来で、犬歯のような棘に覆われていることからきているという説があります。英語ではdog rose、日本語ではイヌバラと呼ばれます。犬がつく植物は一般的に価値がないと思われる植物なのですが、この植物は犬に噛まれたときや犬の皮膚病に使われたことが名前の由来といわれています。
ローズヒップはレモンの20~40倍のビタミンCを含むので、ビタミンCの補給を目的として飲用されます。炎症や発熱時など、ビタミンCが消耗しがちな時に飲むと、治療の補助的に働きます。また、ビタミンCはコラーゲンの生成にも関わるので、シミやしわの予防に利用されます。その場合はハイビスカスとのブレンドが有名です。穏やかな利尿作用や緩下作用もあります。
ローズヒップの安全性について
適切に使用する場合、クラス1に分類されます。
ローズヒップを使ったおすすめのレシピ
ローズヒップのティー
作り方:
- 細かくしたローズヒップを熱湯で3分間抽出し、茶こしを使ってカップに注ぎます。
ローズヒップを使ったフランス料理:パテ・ド・カンパーニュ・ローズヒップのアクセント
作り方
- 豚肩ミンチ、豚バラミンチに塩を入れ、粘りが出るまでよく混ぜ合わせる。フードプロセッサーに鶏レバー、玉葱、ニンニク、エシャロットを入れ、ペースト状になるまで撹拌する(鶏レバーはスジと薄膜、血合いを取り除き、分量の牛乳に6時間ほど漬け臭みを取る)。
- 豚背脂を小角に切り、イタリアンパセリはみじん切りにする。ミンチに鶏レバー、豚背脂、イタリアンパセリ、ピスタチオ、卵、ハーブソルト、キャトルエピス、ローズヒップ、マデラワイン、ルビーポート、ブランデーを入れ混ぜ合わせる。
- 網脂を広げ、テリーヌ型の隅まで敷き詰め端からはみ出すようにのこし、余分な網脂は切り落とす、ミンチをハンバーグの容量で、空気を抜くように丸め型に詰める。
- 網脂で包み込み上にローリエ、タイム、パセリの茎を載せ、アルミホイルをかぶせ180℃で15分、80℃に温度を下げ1時間火を入れる。
- 芯温55℃になったら取り出す。
- 冷めたら、おこのみの厚さに切り分け、皿に盛りベビーリーフ、ブラックペッパーを散らし飾る。
シェフからのアドバイス
- 鶏レバーは、朝挽きの角が立った新鮮なもの選びましょう。
- 自宅にミンサーがある場合は、豚肩、豚バラをカットし、分量のワイン、香辛料でマリネし、一晩冷蔵庫に置いておいたものを粗挽きで2度挽きする事で、スジっぽさがなくなり、なめらかになります。
- 長期保存する時は表面をラードで覆い、酸化するのを防ぐようにしましょう。
この料理にはこのワインがおすすめ
自然派、ビオワイン
アルザス ナチュレ2016ドメーヌ・ジュリアン・メイエー
- 銘柄
- ジュリアン・メイエー・ナチュレ
- ヴィンテージ
- 2016年
- タイプ
- 白
- 品種
- シルバネール90%、ピノ・ブラン10%
- 原産国
- フランス・アルザス
- 造り手
- ジュリアン・メイエー
淡いイエローの外観からリンゴやフローラルな香りが流れます。主なレモン果汁に上向きな酸が絡み合うジュースに、小石を砕いたミネラルが僅かに伸びる旨味を包括した、フレックリアで凝縮感のあるイージードリンキングタイプです。